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【2025年夏・ヨーロッパ音楽旅】第2夜:ザルツブルク音楽祭
2025.09.15
ウィーンを拠点に巡る2025年夏のヨーロッパ音楽旅。グラーフェネック音楽祭の余韻が残る翌日、私たちはザルツブルクへと向かいました。
ザルツブルク音楽祭とは
ザルツブルク音楽祭は、モーツァルトの生誕地・ザルツブルクで毎年7月下旬から8月末にかけて開催される、世界屈指のクラシック音楽と演劇の祭典です。オペラ、演劇、コンサートと幅広いプログラムが用意され、世界中から音楽ファンが訪れる一大イベントとなっています。
今年(2025年)は、日本人ピアニストの反田恭平さんや藤田真央さんも出演されることが話題に。しかし、残念ながらお二人の公演は早い時期に完売しており、今回は鑑賞を断念。私たちは、8月25日のパトリシア・コパチンスカヤによるヴァイオリン・リサイタルのチケット(35€)を事前に予約していました。

ーザルツァッハ川から旧市街を撮影ー
ウィーンからザルツブルクへ:音楽と風景の2時間半
朝9:38、ウィーン西駅からQBB(オーストリア連邦鉄道)に乗車。ザルツブルクまでは約2時間半の列車の旅です。移り変わる車窓の風景を眺めながら、音楽の余韻に浸るにはちょうど良い時間でした。
ザルツブルク中央駅に到着後、まずは駅周辺のカフェで軽くランチをとり、旧市街をのんびり散策。
モーツァルトの生家を外から眺め、ザルツァッハ川沿いを歩き、ふと立ち寄ったのはモーツァルトの生家の前のスターバックス。しかし、ここではザルツブルクの街並みを眺めながら、テラス席でゆっくりとした時間を楽しめました。

ーモーツァルトの生家ー

ーザルツァッハ川・恋人たちが幸せを祈って鍵をかける「愛の南京錠」ー
ミラベル庭園でのひととき
ホテルで少し休憩した後、コンサート前のひとときを過ごすため、ミラベル庭園へ向かいました。
映画「サウンド・オブ・ミュージック」のロケ地としても有名なこの庭園は、噴水や色とりどりの花々、ギリシャ神話をモチーフにした彫像が点在し、どこを切り取っても絵になる場所です。
私たちは、近くのスーパーで購入したサンドイッチとジュースを手に、ベンチで少し早めの夕食。爽やかな風と美しい庭園の景色を楽しみながら、これから始まるコンサートへの期待が高まります。
庭園の隣には、かつて娘が通っていたモーツァルテウム音楽大学があり、個人的には35年前のザルツブルク訪問時に、道に迷って偶然入り込んでしまった思い出の場所でもありました。(当時と比べて、建物は随分モダンに…。)

ーミラベル庭園からのモーツァルテウム音楽大学ー
パトリシア・コパチンスカヤのリサイタルへ
開演が近づき、Mozarteum Grosser Saal(モーツァルテウム大ホール)へ。
通りには、コンサートに向かう人々が次第に増え、オーストリアの民族衣装や華やかなドレスアップ姿がちらほらと見られ、グラーフェネック音楽祭とはまた違った雰囲気。
会場にドレスコードはないものの、皆さんそれぞれに装いを楽しんでいる印象で、「私もジャケットを持ってくればよかったかな…」と少し反省。
ホールの建物は歴史ある石造りで、内部は白とゴールドを基調とした、気品と荘厳さを感じる美しい空間。
ロビーにはバーがあり、観客たちは開演前や休憩時間にドリンク片手にくつろいでいました。テラスでは、外の空気を楽しむ姿も。

ーMozarteum Grosser Saal 開演前の様子ー
今夜のプログラム
- シェーンベルク / ヴァイオリンとピアノのための幻想曲op.47
- サティ / 眼鏡なしに見た右と左のもの(めがねなしで右に左に見えるもの)
- べートーヴェン / ヴァイオリンソナタ第8番op.30-3
- べートーヴェン / ヴァイオリンソナタ第4番op.23
- アンタイル / ヴァイオリンソナタ第1番
- [アンコール] パトリシア・コパチンスカヤ / マインド・ユア・ステップ
コンサートの感動と余韻
私たちの席は2階の最後列でしたが、ホールの音響は素晴らしく、ステージの細かな動きまでしっかり見える好ポジション。
登場したパトリシア・コパチンスカヤは、彼女らしく裸足で演奏。全身を使って表現されるその演奏は、力強くも繊細で、つま先まで音楽が通っているような印象でした。
プログラム全体を通して、音の立ち上がりや緊張感が際立ち、彼女の独創的な世界観に引き込まれる時間。
会場を埋め尽くす満席の観客も、息をのむように聴き入り、最後はスタンディングオベーションで幕を閉じました。

おわりに
ザルツブルクの街の空気、音楽祭の華やかさ、そしてパトリシア・コパチンスカヤの圧巻のパフォーマンス。すべてが合わさって、忘れられない一夜となりました。
ウィーンから日帰りも可能なザルツブルクですが、音楽祭シーズンに訪れるなら、ぜひ宿泊をして、朝から夜までゆったりと過ごすことをおすすめします。